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2021/06/27

圧倒的なウリを見つける
筆者:石黒太一
 

「2ヶ月で絶対10kg痩せるダイエットプログラム」という商品があったら、ダイエットに緊急性を感じている人にとっては魅力的に感じます。同時に、絶対痩せるということに疑わしさをいだくのですが、実際にプログラムを実践して成功している例を提示された瞬間に信頼性がグッと高まります。じゃあ、これはいくらなんだろうと聞きたくなりますね。そこでこのように言われます。「料金は総額50万円です。」わー、高いな、50万円かー、と感じるかもしれません。さらに次のように言われるのです。「分割でのお支払いもOKです。月々10,000円で大丈夫です。さらに、今申し込んでいただけたら、プログラムに満足いただけない場合の全額返金保証もお付けします。」もしも、うまくいかなかったら返金もしてもらえる。月々10,000円なら何とかなる。できない理由ができる理由に変わっていくと、人の心は動いていきます。でも最も大切なことは、冒頭の「2ヶ月で絶対10kg痩せる」という圧倒的なウリです。支払い方法や返金保証は心理的な障壁を小さくするための手段ですが、プログラムそのものも魅力があることがまず大前提です。
 
今日はダイエットプログラムを売りたいわけではなく、自分自身の圧倒的なウリを大切にすることについて考えていきたいと思います。本来あなたという存在は唯一無二のはずです。世の中にあなたは1人しかいません。ですから、誰でもないあなたというものがウリなのですが、就職活動というフレームは当てはめてしまうと、ぼやけてしまいます。3つのポイントに絞って考えてみます。
 
ニーズを理解する
先ほどの例で、ダイエットに興味がない人に10kg痩せると言ったところで全く興味を表すことはありません。相手が何を求めているのかを理解することは何事においても大前提です。データサイエンティストを採用したいと思っているのに、私は書道で師範の資格を持っていますと言っても噛み合わなくなります。職種がはっきりしていればまた別ですが、新卒採用ではメンバーシップ型の採用がまだ大半を占めていますので、その企業が採用をする目的、狙い、さらには企業や事業そのものの目的を理解しておかなければ、自分を伝えるポイントがぼやけていきます。早いスピードで事業成長を考えている企業と既存事業を緩やかに成長させていくと考えている企業とは採用の目的も変わってきます。
 
信頼性を高める
「私は世界一積極的です」と自己 PRで伝えてもやや無理があるということは明らかです。積極的はきっと嘘ではないはずですが、どれぐらい積極的なのかは言葉だけでは分かりません。ですから、これまでの経験や客観的な事実などについて面接で聞かれたり、応募書類で示したりします。自分という人間はどんな人間で、その根拠はこれです、と提示しないと相手からわからないものです。よく就職活動のテクニックに、友達や家族、先生などなどからコメントをもらって面接などで使うということがありますが、これは、第3者からの視点で信頼性を高めているということになります。ビジネスプランコンテストで1位になりました、といった表彰についてもその例です。
 
他にはないユニークさ
面白いという意味ではなく、他にないという意味でのユニークです。面接を受けた瞬間にオファーされるような唯一性を考えることが大切です。同じような経験、同じような強み、同じような志望動機になっているのが現実です。まるでマニュアルにでも書いてあるかのようなインターン先での経験は、むしろインターンしなくても話せるのではないかというぐらいに酷似します。だからとって、誰も体験したことがないようなことを経験するということもまた非現実的ではあります。ですから、「他にはなさそうな」を見つけ出す必要はありますし、表現する必要があります。過剰に盛ることはいけませんが、魅力的に伝えることはちょっとした工夫をすることで可能になります。
 
実はちょっと差が大きな差になる
一人一人が違う経験をしているのに、就職活動になると同じような経験になってしまうことはとても残念なことです。逆に考えれば、相手をよく理解し、ユニークさを探し、信頼性を高める工夫をほんの少しでも実践すれば、圧倒的なウリが見つかるのです。型は大切ですが、型にはまりすぎると自分という存在がぼやけてしまいます。他者との違いは本当にちょっとした差から作ることができます。

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