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2021/08/22

相手の言葉を心で聴く
筆者:石黒太一
 

誤解したり、意図を汲み取れなかったりしてコミュニケーションのズレが起きたら、あなたは何をしますか?相手が「こだわっていること」に固執しているように見えたり、わがままを言っているように見えることがあります。しかし、その奥にはこだわりを持つことになった原体験や大切にしている思いが必ずあります。表層だけを見ていると、相手のことを自分の判断基準で決めつけてしまい、ズレが生まれます。
 
心の奥底にあることは、なぜ?と聞いても簡単には聞こえてはきません。逆に質問の仕方によってはそれ自身が判断をしているように感じてしまうからです。私たちは「傾聴」という聞き方を身につける必要があります。相手が本当に伝えたいことに耳を傾けることです。言葉の奥底にメッセージが隠れています。「私はお腹が痛い」この言葉にも、お腹が痛いのか、お腹が痛いという表現をして気を向けようとしているのか、本人も理解していない不調があるのか、などさまざまな背景があります。しかし、それは相手の心や言葉の向こうに耳を傾けなければ聞き取ることができません。
 
相手の話を最後まで聞ききること。そして、言葉がさらに出てくるために全てを受け入れること。本当は誰もが自分の不安や嘆きを聞いて欲しいと思っています。子供の時はあんなに素直に言えていたのに、社会性を身につけていく中で、自分を抑えたり、空気を読むことが上手になって本当の自分を表現しなくなることがあります。もちろん、大切なことでもありますが、自分を表現しなくなることで自分が考えていること、大切にしていることと相手が大切にしていることに違いがあっても表層的なコミュニケーションで物事が成り立つようになってしまいます。最初はそれでもいいかもしれません。しかし、関係性が深くなり、会話を繰り返していく中でお互いのズレがどんどん広がっていきます。結果として、対立や決別、紛争が起きてしまうのです。
 
相手の言葉とその奥にあることによく耳を傾けてください。話をしているということは必ず何か伝えたいことがあります。伝えたいことの建前だけを受け取ると「理解してもらえない」と相手は感じてしまいます。本音はどこにあるのかを耳ではなく心で聴くことです。耳に聞こえてくる言葉を生み出している源泉を感じ取ることで、本当の相手を理解することができます。

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