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2021/09/21

共感をして聴くこと
筆者:石黒太一
 

「人間にとって肉体の生存の次に大きな欲求は、心理的な生存である。理解され、認められ、必要とされ、感謝されることである」(7つの習慣デイリー・リフレクションズより)
 
体は生きているけど、否定され続けたり、存在を無視されている状態では生きた心地はしません。拷問のような状態ではないにしても、普段の人間関係で自分の存在を受け入れてもらえないと思うときは、同じような苦しみを感じます。自分の行動に置き換えてみると、そんなことをやってしまっていないでしょうか。相手のことを理解する努力をしているだろうか。相手を認めているだろうか。相手を必要な存在であると伝え、感謝をしているだろうか。当たり前に思えることも、無意識の中で、忘れてしまっていることはないでしょうか。実は相手は存在を認められていないと感じてしまい、心理的な生存を脅かされていると思っていることがあるのではないでしょうか。
 
共感をして聴くこと。向き合っている相手のことを心の耳で聞くことは相手を認めることになります。そのための方法はいくつもありますが、まず自分自身が本当に相手に共感しているかどうかは、自分が意思で選択することができます。相手が話をしていることに自分の考えを押し付けたり、アドバイスすることを前提に話をしたりすると、話しても聴いてもらえている感じはしません。「私はどの企業を受けようか悩んでいるんです」と言われたときに、「あなたに向いているのは、この業界だからそこにいくべきだ」という会話をしたら、相談した本人とは聴いてもらえているというよりも、こうあるべきと言われているように感じます。受け入れられている印象はしません。場合によって否定されているようにも感じます。
 
理解して、認め、感謝すること。どんな場面においても、相手との関係を築く上で大切なことです。親しい仲であればあるほど、重要になってきます。生活をするのも、仕事をするのもひとりでは成り立ちません。自分の存在って必要なんだろうかと思わせてしまっていることがあれば、共感もなく、聴くこともできていないということです。最近は、心理的安全性について語られることがたくさんありますが、その大前提として、心理的な生存に対する欲求が、満たされているかをチェックしておくことからです。互いの存在を認める関係があってこそ、心理的安全性について議論される必要があります。自分のことを理解してもらうためには、相手のことを理解することからです。相手のことを理解する、理解する行動をすれば相手も自分のことを理解してくれます。順番が逆になると、なぜあの人は理解してくれないんだろうというモヤモヤが生まれてきます。上司と部下、先輩と後輩といった関係性においても、互いの心理的な生存を認めることで初めて、信頼が生まれ、共に目標を目指す仲間となることができます。

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