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2021/10/03

常識を疑う
筆者:石黒太一
 

お正月に飾る「しめ縄」。お正月が終われば降ろして神社に持っていき焼いてもらう、というのが多いパターンです。しかし、三重県の伊勢エリアは年中しめ縄を飾っています。名古屋でも時々見かけることがあり、なぜずっとお正月なんだろうと子供の時に思ったことがあります。地域によって当たり前が違うというのはよくある話です。そこには背景や歴史、ルーツがあります。当たり前にやっていることもなぜそうなったのか、を見てみると「え?そう背景だったのか」を気づき、当たり前とは何であるかと感じる時があります。
 
業界の常識といったことがあります。「この業界では当たり前のことです」という暗黙のルールは外から見ると鮮明に見えます。例えば、面接をしていたときに知ったことですが、アパレルの販売をしている方はお客様のことを「顧客様」と言います。私はお客様は「お客様」が当たり前だったので衝撃を受けたことを覚えています。きっとそこにも理由や背景があると思います。業界ではないですが、新卒採用では内定式を10/1に行う企業が多くあります。かつて、大学と企業の間で「就職協定」と言われた採用活動に関する取り決めがありました。その後も、形を変えて同様の紳士協定のようなものが存在し、10/1が実質的な内定日となっていたのです。商社や銀行など業界内で人材取り合いをしている場合、業界1位と2位の会社それぞれから内定をもらうこともあります。どこかで白黒はっきりさせたいとなると、同日に内定式を行なってどちらの会社に行くのかを決断を促すことになります。バブルと言われた頃は内定式を高級リゾートなどで数日間の囲い込みを行い、誤魔化せない状態を作っていたという話も聞いたことがあります。そういう過去の背景を理解すれば、企業によっては10/1にこだわる必要もなくなります。そもそも内定式すら何のためにやり続けているのかを目的から考えてみると良いのかもしれません。
 
常識だから、当たり前だからということで、疑いもしないと、せっかくのチャンスを逃すことだってあります。SPIの対策をすることが就職活動の準備の当たり前だと思っていたとします。しかし、自分が応募する企業はどこもSPIを使っていない、という事も起こり得ます。リクナビ、マイナビには掲載されていない企業でも、新卒採用を行なっている企業はいくらでもあります。大学4年生の10月の時期に選考を行なっている企業はまだまだあります。特に、行動をして行き詰まったり、答えが見えなくなってきたら当たり前を捨ててみることです。当たり前があることで行動が絞れるというメリットもありますが、視野が狭くなっていることもあります。日本のスマホにおけるApple(iPhone)のシェアが60%近くあります。しかし、世界で見れば、Appleは14%程度です。LINEを当たり前に使っていますが、海外に行けばWeChat、WhatsAppを使っている人の方が圧倒的に多くなります。自分たちの常識や当たり前を時には疑うことです。なぜそうなのか、何のためにやっているのか、冷静に問いを立ててみることでもっと可能性が広がります。

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