MIRAI-ZINE

menu

2021/10/11

​相手が見ているものを知る
筆者:石黒太一
 

マクドナルドのことを関西では「マクド」と呼ぶと知った時、衝撃でした。大学生の時だったと思います。マクドナルドの看板を見て「マック」と連想する人と、「マクド」と連想する人がいるという事実。地域によって呼び方が違うのはよくあるじゃないか、と言ってしまえばそのとおりですが、同じものを見ても人によって違うことを知った初めての経験でした。私達は物事を人それぞれの「メガネ」をかけて見ています。この「メガネ」を上手にかけ変えることができると、相手を理解することにつながっていきます。
 
受験の準備をこれからする人と、受験を終えた人では、同じ問題を見ても違ってみえます。何度も解いたことがある問題であれば、見た瞬間に解き方と答えが浮かんできます。しかし、初めて見る人にとっては解き方はわかりませんし、その難易度もわかりません。経験者がこんな問題、時間をかけてやる必要はないよといったところで、初めて見る人にとってはその意味すらわからないのです。山に近い海岸線に二人の人が立っていたとします。1人は海を背にしていると、見えるものは山です。反対に山を背にしている人は海が見えます。どれだけ見えていることについて話をしても噛み合うことはありません。でも、少しでも振り向いて相手の視線の先を見てみると、何が言いたいのかがわかります。私達の普段の会話で、自分が見えていることだけで話をしたり、相手が見ていることを理解しないで話しをすると、ぎくしゃくすることがあります。見ているものが違うのだから当たり前だと気づくことができます。
 
脳や行動特性は人によって違います。生まれ持ったもの、今までの経験や体験によって身につけたものなどがあります。直感でとらえる人もいれば、論理的に考える人もいます。同じ出来事を悲観的に見る人もいれば、楽観的に見る人もいます。大切なことは、物事のとらえ方について優劣はありません。それは個性の違いです。コミュニケーションですれ違うとか、自分のことをわかってもらえないと感じるときは、相手のことを理解することです。相手がどのように物事を見ているのか、何が見えているのかをまず理解することです。あの人は最近態度が悪い。でも真実は態度が悪いのではなく、体調が悪かったり、家族のことで不安な事があって気持ちが落ち込んでいるということもあります。自分に見えていることがすべて事実とは限りません。思い込みや決めつけるのではなく、相手の視線先に何があるのかを理解する努力をする必要があります。

TAG :

RECOMMEND