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2021/11/30

「きまZ」を自分事にする
筆者:石黒太一
 

JC・JK流行語2021が発表され、コトバ部門の1位を「きまZ」が獲得しています。恥ずかしながら、私は「きまZ」をこの発表で始めて知りましたし、日々の生活でも使ったことがありません。だからといって、今日からSNSで活用しますというわけでもありませんが、常にアンテナを高くしておくことの大切さを実感します。無作為に流行に敏感になる必要はないかもしれませんが、変化を理解することは仕事をする上でも必要です。もし明治の人から見れば、私たちが普段使っている言葉も未知なものに聞こえるはずです。
 
世代がすこし違うだけでも、言葉の違いが生まれます。40代と30代でも生活をしてきた背景の違いで、言葉が変化しています。なぜこの理解が必要なのかというと、学校生活では同世代の人たちと生活をしてきましたら、言葉の違いにあまり気づくことがありません。大学に入って、全国から集まった人たちが方言について盛り上がるぐらいで、世代でのニュアンスはほとんど同じです。しかし、就職をすると一変します。会社の年齢構成によっても違いはありますが、同世代の人だけで仕事をするということはありません。時には自分の親と同じぐらいの人たちと机を並べて仕事をすることもあります。この時に、自分の言葉、相手の言葉に違いがある状態でコミュニケーションをすると、意思伝達でのズレが生じるのです。強い会社や組織は「共通言語」を大切にしています。
 
強い組織の共通言語は定義が揃っています。例えば、「書類は早く提出する」でも、早いは1時間以内なのか、翌日までなのかが人によって認識が違っていたら、行動がばらつきます。結果的に、お客様からみた品質にばらつきが出ることで商品・サービスへの信頼にもつながっていくのです。言葉の定義が揃っていること、言葉の意味から説明しなくても伝わることは、商品やサービス、会社そのものの価値を高めることになるのです。
 
私が「きまZ」を知ったからとって、突然使い始めると使い方や文脈の違いで非常に違和感がでるはずです。自分の言葉として使っていないと、言葉だけが浮いてしまうのです。逆に高校生が「ガチョーン」という言葉を使ったら、周囲はきょとんとしてしまいます。これが、職場では日常的になっていたらどう思いますか?共通言語化されていない中で、部長と新入社員がそれぞれの認識で言葉を使っていたら伝わらない、理解できないという現象がお互いにできてしまいます。そうならないためにも言葉を揃える必要がありますし、お互いに相手の言葉に興味関心を持つことが大切です。相手の立場に立って考えること、場合によっては知らないことを認識すること、言葉の背景まで理解する努力をすることです。自分が発する言葉も、相手が発する言葉もその意味することが揃って、はじめて「伝わる」になっていきます。

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