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2021/03/08

具体と抽象
筆者:石黒太一
 

面接で短時間でポイントを伝えようとして、抽象化して伝えようとすることがあります。模擬面接などで練習をすればするほどその傾向にあるように思います。具体的な事象を抽象化する力はとても重要であり、点在する事実から課題を見つけだし要点をまとめていくことは仕事をする上でも、大切です。トラブルや困ったことがあったとき、一体、この問題・課題をフレームで考え整理することをします。しかし、面接で、あまりに抽象化しすぎると初めて聞いた人にとってはその背景などを再度確認していく必要があります。入試の国語を思い出してみてください。詩のような抽象的な表現から作者の思いを推測するときに、行間をしっかり理解したい、想像力を働かせる必要があります。逆に、社会問題を具体的に書いているような文章はもちろん読み込みは必要ですが、内容は読んだらわかります。こんな違いを感じることがあります。
 
短時間で要点を絞って伝える練習は社会人になると必然的にやることです。例えば、営業のアポイントが取れて、お客様と商談をする際に、元々1時間を予定していたのにもかからず、訪問したら「すいません、今日急ぎのスケジュールが入って30分でお願いしたいです」と言われたとします。1時間掛けてプレゼンするつもりだったのに、時間はその半分になってしまいました。時間は半分でも成果は半分にはなりません。どのようにこの条件変更の中で伝えることができるかです。このときに、時間を短くするから抽象的なことでまとめてしまうことが必ずしもいいとは思いません。抽象化するのではなく、短くても分かるように要点を絞ることです。
 
新聞の記事は重要なことから書いてあります。もし、より重要なニュースが入ったら、後ろをカットしても内容が伝わるように構成されています。面接はプレゼンではないということは前提としても、まず相手の心をつかむためのキーワードや言葉の作り方は大切です。コミュニケーションを前提としていますが、自分のことを知ってもらう、自分の思いを伝える、といったときに自分の言葉で具体的な表現を使うことが伝わりやすい第1歩だと考えています。「私は素直な人です」よりも「私は部活の先輩のよいところをまず真似することを取り組みました」といったほうが素直に行動できる人であると感じます。
 
面接でテクニックばかりを上手になってもそれは本質ではないと思っているので、こうすべきということはあまりお伝えしないようにしていますが、普段の会話の中でも具体と抽象をうまく使ってお話していると思います。自分の考え→「例えば」といったように事実や例を加えて伝えるとよくわかりますよね。あまり頭でっかちになりすぎず、相手に自分の意図したことが伝わっているかどうかが大切です。模擬面接で磨いていくときに、色々なパターンを練習して、自分をどのように表現したいのかを考えてみると、自分自身の振り返りにもなって、自己分析にもつながっていきますね。

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