会社とはなにか
なぜ就職するのかを考えるにあたって、その会社や職場で何を自分は成し遂げたいのかを深く考える必要があります。商品企画を通して、多くの人の生活をより良くしたい、マーケティングのプロフェッショナルになりたい、人事・採用を極めて働きがいに貢献したいなど、手段と目的は明確ではなくてもどうなりたいか、どうありたいかを想像することです。その中で、将来起業するためにビジネスの基本を学ぶために就職するという事を考えるときがあります。夢を持つことはとても大切ですし、内発的な動機にもなります。しかし、就職するのであればその企業とお客様に貢献することをまず考えることです。
起業家精神ということがあります。起業家の考え方をもって仕事に取り組むことでより高い成果をだすことができます。現状維持ではなく常にチャレンジをしていくことや、リスクを恐れず前進していくことで、道を切り拓いていくことができますし、会社に起業家精神をもった人材が多くいればその組織はより成長をしていきます。企業と社員は相互依存であり、win-winの関係になっていることこそ、ほんとうの意味で働きがいややりがいにつながっていきます。会社では仕事を通して学ぶことがたくさんありますが、研修を受けに来る場所ではありませんし、機会を提供してもらえる場所でもありません。機会は自ら創り出すのです。
ファーストリテイリング柳井会長は次のように言っています。「会社とは自分の踏み台として存在するのではなく、世界中の資源や才能を自由自在につなげるために存在するものです。職業人として自己中心的な欲求を満たしたいならば、自分以外の人間を巻き込むべきではありません。」(DIAMONDハーバード・ビジネスレビュー 2021年4月号「経営者の覚悟が世界を変える」)このメッセージは最近の起業家向けのものではありますが、組織で働くすべての人にも向けられているように思います。なぜ私たちは企業に集い仕事をしているのか。自身の欲求のために人を巻き込むのではないということは、関わるすべての人と社会をより良くするため、豊かな世界を作るために活動をしているのだと聞こえてきます。
起業を否定するつもりはありません。新たな価値の創造で世界を豊かにすることはとても大切なことです。もし、就職をしてその先に自分で事業を起こすことを夢見るのであれば、まず目の前の仕事、お客様に貢献することです。独立することを決めているのであればそれまでにどれだけの成果を出すかをコミットメントしておく必要があります。出口戦略と考えてもいいかもしれません。応援される人になることが事業での成功にもつながります。