採算を考えるという意味
PDCAを高速で回し、KPIは改善されている。
しかし、そもそもその収益性はどうだろうか。
新入社員だから、事業部長だからということではなく、自分が責任を持って取り組んでいる仕事は会社全体の数字のどこにつながっているのかを考えていくとやりがい、働きがいが大きく変わってきます。業務が分業化していくと、担当している範囲は必然的に限定的になってきます。専門的にそれぞれの分野で成果を出すための取り組みをしていますが、自分が担っているもしくは持っている目標はどのような意味があるのでしょうか。
例えば、飲食店のアルバイトをしていると店舗あたりの1日の売上を見ることがあります。売上が上がっていることと採算があっていることは実は別の見方なのです。1日10万円の売上目標を達成していたとしても、その飲食店の原価、人件費、固定費などを見ていくと、どれだけ稼がないと利益が残らないかがわかります。しかし、たくさんの数字を見ながら日々の業務をしていると動きが鈍くなるため、わかりやすい数字に分解し、日々の業務に落とし込みをしていることがあります。自分が持っている数字を達成することができるようになったら、次はその数字が上がっていくとどのように全体数字に影響するかを考えてみると、仕事のステージがあがっていきます。
日々追いかけることができる数字は必ず採算につながっています。なぜなら、売上を上げ、利益を出していくために最も重要なことに時間、お金などの経営資源をつかっています。一人一人が取り組んでいる仕事がどのように貢献しているのか、何をすると採算が良くなっていくのかを知ることが大切です。採算が良くなると、お客様により良いサービスを提供できるようになります。さらにはサービス提供の質を高めるための教育にもお金をかけることができます。そして、そこで働く人の待遇も変わってきます。採算を良くするために商品の質を落として、利益だけを増やして儲けようとしても短期的には利益が出たとしてもお客様が離れていってしまいます。単にコストを削るだけではいけないことがわかります。お客様に喜んで頂く為に創意工夫をして価値を提供していくのです。
採算性を向上させようと聞くと、金儲けのように聞こえるかもしれませんが、そうではありません。お客様もライバルも変化し続けています。市場環境は刻一刻と変わっているのです。時として、市場に合わせて急な変化をしなければいけないときもあります。その時にいかに市場に合わせながらもお客様に喜んでいただき、適切に利益を確保するためには、常に採算性を向上させる努力をし続けていく必要があります。売れなくなったら値引きするとか、利益が出ないからどんどん値上げするなんてことをしていたらお客様との信頼関係は築くことはできません。どのようなビジネス、商売でも採算は重要なものです。