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2021/05/20

オンリーワンではなく、ナンバーワンを目指す
筆者:石黒太一
 

オンリーワンであることが時として成長を止めてしまうというお話です。「世界にひとつだけの花」の歌詞ではオンリーワンな存在であるからナンバーワンを目指す必要はないというものがあります。これはその通り、人はそれぞれ唯一無二の存在であるということをいっており、それは間違いのない事実です。これが商品で考えた時にそれでいいのかです。ビジネスには市場があります。化粧品市場、健康食品市場などのようにカテゴリーわけされています。日本の国内化粧品市場は2兆7000万円ほどです。この中でいかにシェアを伸ばすかということをしています。だったらオンリーワンの絶対的ブランドがいいのではないか、と思うのですが新たに参入することを考えると膨大な費用がかかります。例えば、楽天が携帯電話事業に参入しました。大手3社が寡占状態の携帯電話市場に新規参入してそのシェアを伸ばそうとしています。テレビCMなどの広告を大量投下し、価格面でもライバルから乗り換えを促すような設定をして攻めまくっています。決算を見るともすごい費用を使っていることもわかります。このような方法で市場参入するということも不可能ではありませんが、それなりの体力も必要です。
 
いやいや後発で参入してナンバーワンってなに?となりますが、後発で参入するからこそ、ナンバーワンを作るのです。さらには市場を作ります。既存市場でシェアを伸ばすよりも、新たな市場を創り出しそのカテゴリーを先頭でひっぱっていくこと。そうなると後発でもはなく、先発商品になります。スマホの例をで考えるとわかりやすいかもしれません。AppleがiPhoneを発表するまでスマホという存在はありませんでした。(厳密にはその原型のようなものはいつくか存在していましたが。)iPhoneの登場で世界的にもスマホが一気に広がり、スマホ市場が誕生しました。そして、ライバルメーカーも登場し、切磋琢磨することでその市場はどんどん大きくなっていったのです。携帯電話という点では後発だったAppleが市場を作って大きなトップブランドになりました。もし、ライバルが登場せず、Appleだけがスマホを販売していたらここまでなったでしょうか。ニーズがあることがわかったライバルが参入してきたことで良い競争が生まれ、成長していったことがわかります。
 
オンリーワン商品が決して悪いわけではなく、どこにも真似ができないものというものも魅力的です。しかし、その1社だけでより多くのお客様につかっていただいたり、利便性を知っていただくには限りもあります。時としてライバルの存在が大切になってくるのです。そして大切なことは、そのカテゴリーで代表的な商品、ブランドであることです。〇〇といえばこれ、というように連想されてくる商品は強い。市場の成長を創り上げ、その成長を促すことが世のため、人のためにもつながっていくのです。

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