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2021//06/19

あなたの人生の目的はなんですか
筆者:石黒太一
 

「あなたはなぜ当社を志望していますか?」という質問を面接でよく聞かれると思います。就職活動では誰もが考え、面接で答え、企業もその内容を聞いているにもかかわらず、ミスマッチというものが少なからず存在します。志望している理由もあるのに、面接をする人もその内容を聞いて納得しているにもかからずです。何がそこには足りていないのでしょうか。
 
就職をするために考えた志望動機は、会社の採用サイトや説明会などを通してこういうところが面白そうだな、共感できるなというものを言語化したものです。企業のメッセージに合わせてみたり、これを言ったら通るだろうというものから作っていると、面接に参加する人がみんな同じことを志望動機にすることがあります。これは企業側も多面的な情報発信をしていないということにも原因がありますが、企業文化や社風といったものはある程度ありますので、志望動機になりがちなことは似てくることもあります。しかし、面接を受ける人がそれぞれの人生の目的を持っていることを考えれば、もっと志望動機もバリエーションがあるはずです。価値観も変化し、個人が自分の生きがいを投影できる仕事を選ぶようになってきています。ただ、従来の就職活動のやり方だけが変わらず残っていることで、お互いを理解し、共感によってつながるはずの選考活動が、選ぶ・選ばれるという関係性を残したまま現代に至っています。
 
Purposeは個人にとっても、企業にとってもあらためて大切なものになっています。自分の人生の目的とは何か。人生100年時代なのであれば、20代前半から見てもまだ60年、70年と社会との関わりが続きます。60年もあると、仕事や取り巻く環境、技術、文化も劇的に変化します。今から60年前だと、1960年代です。ダッコちゃん人形流行、カラーテレビの登場、ビートルズ来日、テープレコーダーの普及といった時代です。これぐらい時代は変わるのです。もちろん、時代と共に自分自身も変わっていきますので、人生の目的も進化していくものだと思います。物がどんどん進化して新しくなっていく時代は生活をより豊かにするために金銭的報酬をいかに増やしていくかに誰もががむしゃらになっていました。しかし、社会が成熟してきたことで「やりがい」に重点をおく価値観が生まれてきているのです。報酬を求めることがよくないとか、やりがいを重視することが良いということではなく、人によって様々な価値観を持つようになり、働く目的、人生の目的も多様化しているということを理解しておく必要があります。自分の人生の目的が、人と違ってもいいし、それを仕事にしたっていいという時代なのです。
 
就職活動の「型」にハマっていると、人生の目的をいったん横に置いて考えてしまうことがあります。しかし、それは自分とのつながりを絶ってしまっているとも言えます。すぐには答えることはできかないかもしれないですが、「あなたの人生の目的はなんですか」と自分に問いかけながら日々生活をしていると、本当の自分に出会う瞬間がおとずれます。

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