非効率なコミュニケーション
就職するために、エントリーシート、インターシップ、グループワーク、面接などいくつも段階があります。何度も同じことを聞かれたり、繰り返し採用担当者と話をする機会があります。繰り返すことより、もっと効率化したらいいのにと思うかもしれません。最近はリモートで選考が完結する企業も増えてきましたが、選考の後半はリアルを重視する企業もまだ多数あります。なぜ非効率なコミュニケーションが重要なのでしょうか。
オフィスのレイアウトを考えるときに、「マグネットスペース」という考え方があります。全社で共通して使用するようなプリンタやドリンクスペースを意図的に配置し人の動線を作り出するというものです。そこに人が集まってくることでちょっとした会話や部署が違う人が顔を合わせる機会がうまれます。もちろん、1000人入るオフィスでプリンタ1台というのは業務の生産性を低下させることもありますので、これはただの非効率です。生産性とコストを考え、意図的にコミュニケーションを作り出すことはチームで仕事をするという点ではとても大切なことなのです。
就職活動でコミュニケーションの量を増やす目的は、相互理解を深めることで一緒に働きたいという意思を強めるためです。企業のことをWEBにある情報だけ見ていても働く環境は一方的な側面しか見えてきません。自分がいいなと思っていても自分が活躍できるかどうかはまた別の話です。企業から見ても、数回お会いしてお話をしただけでは表面的なことしかわからないですし、会社が大切にしていることを伝えるためには繰り返しになりますが、コミュニケーションの量を増やしてく必要があります。動画コンテンツを見ておいてくださいという方が効率は良いかもしれませんが、伝わることには限界があります。
効率だけを重視していくと、「文脈」を理解することができなくなることもあります。例えば、会社訪問したときに社員の人たちの雰囲気から感じることや、採用担当の熱量といったこともどこかに明記されているものではありません。企業の理念や価値感といったものもコミュニケーションの中からつながってくることもあります。採用情報を見るととても素敵なことが書いてあるのに、その企業の方たちに会ってみるとどうもイメージしていたことと違うということは少なからずあります。だからこそ手間はかかるような非効率なコミュニケーションというものが存在しているのです。