若いうちから活躍できるは本当か
年齢によって活躍の機会が違うということはありません。機会は自分で掴むものであり、自分で作り出すものです。「御社は若いうちから活躍できるので・・・。」という志望動機をお話いただくことがあります。機会を自ら創り出すという点では確かに、若いうちから活躍することができますね。しかし、もう一段階深く考えてみたいことがあります。
若いうちは活躍できない仕事とはどのようものでしょうか。例えば、熟練した技術を必要とするような仕事は下積みが長いものです。10年、20年と時間をかけて技術を受け継ぎ、人間国宝と言われるような存在になってやっと認められるという仕事もあります。かつては寿司職人も以心伝心で師匠から技を盗みながら腕を磨いていくというものでした。しかし、今では数ヶ月で技術を習得することができる学校もできています。企業でも年功序列と言われるような風習も多くの会社で存在していましたが、予測ができない時代において、年功序列では変化に対応できなくなっています。つまり、技術が進化するスピードが非常に早く、変わり続けていく現代は、過去の経験が通用しなくなっています。若い人でも、経験がある人でも、変わり続けることにおいては同じステージにいます。だからこそ、若いうちから活躍しなければならないのです。
昔のドラマなどを見ると、役職の高い人は肘付きの椅子に座り、秘書が入れてくれたお茶を飲みながら書類にハンコを押しているシーンがあります。今、こんな仕事をしていたら会社は潰れます。役職とは役割であり、階級ではありません。あのポジションになったら「上がり」なんていっていたのはもう何十年も前の話です。お客様の要望やライバル、市場もどんどん変わっていきます。周りは変化しているのに、自分たちが変化しないでいたらどうなるかというと、それは衰退です。変化をするためにはお客様のことを深く知り、何を求めているのかに敏感になっていかなければいけません。
若いうちに活躍するには、素直にまずやってみることです。先輩に教わったことと自分の知っていることでは違うこともあります。それでも、まずは教わったとおりにやってみることです。必ず先輩のやり方には理由があります。いきなり自分流でやってしまわないことです。そして、もう一つ。目の目の仕事で成果を出すことです。機会を作るためには、その人に任せてもいいという信頼を得る必要があります。信頼がない中で、新しいチャレンジさせてください、と言っても任せていいか不安になります。毎日遅刻したり、担当した業務を納期までに完了できないという人に新たな仕事をお願いするということになりません。この仕事はできないけど、あの仕事ならできます、はわがままです。若いうちから活躍する環境よりも、自分がどのような姿勢で仕事に向き合うかで機会は決まってきます。