適性検査は何のためにあるのか
書店に行くと就職活動関連のコーナーには、各種適性検査の対策本が平積みされています。準備をすること自体はやらないよりやっておいたほうが、心理的な安心にもつながることだと思います。各社がどの適性検査を使用しているのか、なども対策本に書いてありますね。最近は、SPIを採用試験に使用する地方自治体も出てきていますので、一概に適性検査と括ることも難しくなっています。ですが、あえて考えてみたいのは、何のために適性検査を企業が利用するのかということです。
学習塾や学校でも適性検査を受けたことがあるかもしれません。もちろんそれはクラス分けや選抜という目的ではなく、その人の強みや特性を理解することの一部として活用されている事が多くあります。特性も人それぞれですし、得意不得意もあります。学校の先生は生徒の一人ひとりにそれぞれにあった学び方、目標の設定方法等によって成長をサポートしたいということがあります。これは企業にとっても同じです。仕事においても向き不向きはあります。どれだけ自分がこれをやりたいと言っても、その方がパフォーマンスを発揮しやすい仕事ややり方はあります。会社はいろいろな個性や才能を持った人が自分の強みを活かすことで新しい価値を生み出していきます。適性検査は何かを判断するものではなく、よりその人の良さを知るために使われています。
SPIを開発した大沢武志氏は著書の中で次のように言っています。「パーソナリティ・テストのデータをもとに、社員適性としての評価に結びつけて、序列をつけたり、職務適性判定の情報に読みかえることは実際には難しい」(「心理学的経営」大沢武志著)適性検査は判定するために使えないと開発者が言っていることからもわかるように、大学入試のように合否が出るものではないということです。適性検査を突破したという表現をすることがありますが、それは、適性検査だけではなく、その他の情報を含めて総合的に判断しているということです。就職活動のために適性検査対策に時間をかけすぎていたら少し冷静になって、もっと準備する必要がないかを考えてみることも大切です。
適性検査で見ることができるのはその人のごく一部であり、ある側面だけだと考えています。最終的には適性検査ではわからない部分を人が人の目で確認しています。人を単純なパターン分けをすることができるものでもありません。あまり深く思い悩まず、ありのままの自分で向き合ってみましょう。