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2021/07/07

自分にしかないストーリーがある
筆者:石黒太一
 

集団面接で前の人と話がかぶったという経験はありませんか。用意していたネタを先に言われてしまい、プチパニックのまま、それっぽいことを言ったけど手応えがゼロということを聴くことがあります。誰一人同じ人生を歩んでいないのに人と同じようなことを話ししてまうことからどうしたら脱却できるのでしょうか。

自分の当たり前は残してもいい
模擬面接慣れというものがあるように思います。学生団体やサークルなどで互いに模擬面接をすることがあります。もちろん練習することは大切ですし、準備は必要です。しかし、あまりに量をこなした結果、模擬面接用の自分が出来上がってしまい、いかにも就職活動の自己PRという型にはまってしまう様子を何度もみたことがあります。その理由の一つにお互いのフィードバックの質も影響をしています。初めは個性豊かな自分を伝えているのですが、「ここがわかりにくい」「こうやって伝えると明確になる」などアドバイスを繰り返す中で、どんどん角が取れていってしまいます。結果として、万人受けするような言葉のかたまりになってしまうのです。自分が当たり前だと思っていたことがウケが悪いと修正をしてしまうのですが、実は、その自分の当たり前の中に自分にしかない今までの歩みが隠れています。

点ではなく、線で考える
ガクチカで学生時代を振り返ることがあります。大切なことは、今の自分を作り出しているのはその前の20年の人生があることを忘れてはいけません。これまでの経験の積み重ねが直近数年の自分に影響を与えています。ですから、突然、大学生になったら人格が変わるということはありませんし、急に行動的になったということがあったとしても、その背景が必ずあります。サークル活動で楽しかったある一点だけを切り出してきても、それは事実でしかなく、自分らしさが乗っていないことがあります。そんな小学生のときからのつながりなんかないと思うかもしれませんが、今行動したり考えていることの原体験がいままで生きている中でどこかにあります。留学したいと思ったのも今日明日で考えたことではなく、何かの情報や人に触れたからこそ考えるようになったのです。

よく見せるのではなくありのままを伝える
あるコンビニとビールメーカーが提携して発売しようとした商品に、パッケージの英語表記ミスがあったという出来事がありました。一時は発売休止をすると発表になったものの、Twitterなどで話題となり、結局はそのまま発売され、あっという間に完売しました。良いこと、かっこいいことだけが人の心を動かすのではなく、ありのままを伝えることも人の心を動かすきっかけとなります。面接やエントリーシートで常にプラス面だけを伝えようとするとキラキラした自分でなければならないと思ってしまいます。しかし、誰でも弱みや失敗、うまくいかないことのほうが多いのではないかと思うのです。できない自分を受け入れ、そこも含めて自分であると考えるともっと自分らしいエピソードが見えてきます。

完璧な人はいません。就職活動を始めるとすごいことを言わないといけないと思うかもしれませんが、そこだけにこだわると本来の自分を見失います。自分が普段から経験していること、体験していること、今までの生活の中で自分に影響を与えたほんとに些細なことでもなんでもいいので、自分をありのままに振り返ってみることが自分にしかないストーリーを見つけ出す第一歩です。

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