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2021/07/22

フィードバックって何をするの?
筆者:石黒太一
 

フィードバックという言葉は普段使っていますが、そもそも何をすることなのかを人材育成という視点で理解しておきたいと思います。
 
立教大学・中原淳先生の著書「フィードバック入門」ではこのように表現されています。
 
1.【情報通知】
たとえ耳の痛いことでもあっても、部下のパフォーマンス等に対して情報や結果をちゃんと通知すること(現状を把握し、向き合うことの支援)
2.【立て直し】
部下が自己のパフォーマンス等を認識し、自らの業務や行動を振り返り、今後の行動計画をたてる支援を行うこと(振り返りと、アクションプランづくりの支援)
中原淳著 「フィードバック入門」より
 
まずは伝えること。伝えるといっても遠慮して伝えるのではなく、「たとえ耳の痛いことであっても」「情報や結果をちゃんと」伝えます。ここがうまく機能しないとフィードバックをしても何の役にも立たない会話をしていることになります。そのための5+2のステップがあります。
〈情報収集〉
(1)信頼感の確保
(2)事実通知
(3)問題行動の腹落とし
(4)振り返り支援
(5)期待通知
〈フォローアップ〉
 
〈情報収集〉
そもそも情報がなければフィードバックすることもわかりません。仕事の場面であれば、対話や1on1がこれに当たります。聴くことからです。情報の中にも解釈やその人のバイアスがかかっていることもあります。なるべく事実を鮮明にし、角度を変えて立体的に知ることがよいフィードバックにつながります。
 
(1)信頼感の確保
耳の痛いことも伝えることができるのは、互いの信頼関係があってのことです。信頼していない人から何を言われてもささらないですし、むしろ批判のようにしか聞こえなくなります。「叱りつける」になってしまっては一方的な指摘です。相手を尊重することによって信頼感を確保します。
 
(2)事実通知
そして、収集した事実を伝えます。事実は時として、本当にきつく感じることもあります。ビデオで撮影したかのように、主観も解釈も含めず事実を明らかにします。スポーツで自分のフォームを撮影して見返す時のように、「○○という出来事が■■のように見えるけどどう思う」といったように客観的に伝えます。
 
(3)問題行動の腹落とし
客観的に見たこの事実が理想とギャップがあることを理解してもらいます。伝える側の意図で理解をさせるのではなく、フィードバックを受ける本人がギャップがあることを納得することが大切です。しっかり対話をします。もしかしたらギャップに気づいていないかもしれませんし、事実を見たところで何が問題なのか、どんな課題があるのかが理解できていないと、フォードバックが上滑りしてしまいます。ここは重要なポイントです。
 
(4)振り返り支援
双方でどこに課題があるかが理解し合うことができれば、内省し、これから何を行動をしていったらいいかを言語化します。何が起きたのか、それはなぜか、これからどうするのかの3段階で振り返りをします。行動していかなければギャップも埋まりませんし、これからを変えることはできません。
 
(5)期待通知
事実に向き合い、フィードバックによって耳が痛いし、ちょっとしんどい気持ちになっていることもあります。ですから最後は期待を伝え孤独にさせない締めくくりをします。言われっぱなしになっていては前進する気持ちも萎えてしまいます。
 
〈フォローアップ〉
フォローアップはその後を見守り、コミットしたことが薄れていってしまいそうなら再度対話をして、サポートをします。
 
随分とステップもあるし、気をつけないといけないことがたくさんあるようにも見えますが、意図的にフォードバックを利用しないと互いに成長をしていかないという事実があります。上司部下、リーダー・メンバーの関係性は変化しつつあります。長時間一緒に仕事をして、仕事が終わってからも夜中まで飲み歩いて深い信頼関係を作ることができるのであれば、フィードバックというものが自然と発生していたかもしれません。しかし、働き方が大きく変わらざるを得ない現代では、マネジャーという役割をする人にとってフィードバックはスキルであり、仕事そのものです。多様な価値観、多様な働き方が混在するチームでそれぞれの強みを活かし、チームを強くすることは決して簡単なことではありません。耳が痛いことも伝えることができ、それによってメンバーが自分事として行動するチームができたら必ずお互いにとってやりがい、働きがいにつながっていきます。

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