相手の頭の中をイメージする
わかりにくいことを伝える時に、相手がわかる例えに置き換えて話してみると、見ていることを近づけることができます。伝える上で、一番大切なことは相手も同じ絵が描けることです。自分の頭の中のイメージと相手の頭の中のイメージが完全に一致していていれば、阿吽の呼吸ができますが、お互いにイメージしているものが違えば、会話が噛み合わないということが起きます。
ガクチカで、アルバイトのエピソードを伝えるとします。どのような場所で、どのような人たちと仕事をしていたのかは自分の中では具体的に見えています。そして、何をして、どんな結果だったのかも自分が体験したことですから、頭の中ではストーリーがイメージできています。これを相手に同じイメージを持ってもらうためにはどうしたらいいでしょうか。大切なことは、できる限り具体的な表現を使うことです。飲食店でアルバイトしていた、だけではなく、どのような店名のお店でどこにあって、自分はどのような役割を持ってアルバイトをしていたのかを伝えます。もちろん、相手は、そのお店のことは知らないかもしれません。より詳細に伝える工夫をします。ネットでスターバックスの店舗情報を探す時に、「飲食店」よりも「カフェ」、さらには「スターバックス」と検索していくほうがより詳細なことがわかるのと同じことです。
勉強をしている時に、見ることで覚える人、音で聞いて覚える人、書いて覚える人がいます。視覚、聴覚、体感覚と言われるものですが、五感の中でも優先されるものが人よって違うと言われています。ですから、自分の当たり前が相手にとっては当たり前ではないことがあります。勉強方法を教えてもらった通りにやったけど、なぜかしっくりこなかったというのは、この違いもあります。英単語はひたすら書いて覚えるんだと言われながらも、単語帳を見ているだけで、すっと入っていく人もいます。自分のことを伝えるときにも、自分が伝えたい方法で伝えても相手が納得しているかどうかはわかりません。相手はどんな情報によって、理解することが得意なのかを考えて置くことが大切です。
相手の立場に立って考えることも大切です。役割によっても見ていることが違います。模擬面接をしている同級生と、採用選考で面接している人とでは、目的も違いますし、そもそも見ているポイントが異なります。また、面接を進んでいく過程の中でも、最初に面接をする人と最終面接をする人とでは見るポイントも違います。最終面接で自分から質問をする時に「この会社に入社してやりがいを感じたことはなんですか?」と質問をするのは、相手の目線に立ってみると、違和感があることに気づきます。企業によっては、創業者に「入社してのやりがいはなんですか?」を聞いていることになります。自分が伝えたいことだけの視点でコミュニケーションをすると、矢印が一方通行になります。しかし、相手から見た自分を想像して伝えると、言葉の使い方、何を伝えるのかも変わってきます。相手の頭の中に自分の思っているイメージが投影されるように会話をする。日々の習慣でも身につけることができますので、伝える工夫にチャレンジしてみましょう。