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2021/09/19

就職の対義語は起業ではない
筆者:石黒太一
 

いつか起業するために、まずは就職をして学びたい。起業家を養成することを目的に採用活動している企業であれば、この志望動機もOKかもしれません。しかし、多くの企業で特に新卒採用をする場合は、10年後の会社を中核メンバーとして引っ張っていってほしいなど、長期的な視点で期待をしていることがあります。ここに採用と就職の目的にギャップがある状態では、ミスマッチが発生してしまいます。
 
就職したとしても、起業家精神を持ってチャレンジしていくということはとても大切なことですし、先の見えない時代には必要なことです。起業家精神とは起業家になりたいということではなく、新たなことに果敢にチャレンジしていく行動力、豊かな発想力、忍耐力、やり抜く力などを持ちながら仕事に向き合うということです。起業を考えているなら、企業に就職するというステップを踏まなくても、今からでもチャレンジをしていくこともできます。
 
企業で学ぶことができることは、知識ではなく、仕事で成果を出していくことから得られる気づきです。知識は身につけることができることもありますが、実践のない知識は「知っている」ぐらいになってしまい、「使える」知識にはなりません。日常の仕事でチャレンジして、体験、気づくことで自分のものになっていきます。そして、環境や時代がどんどん変化していきますので、仕事での体験もどんどん進化していきます。例えば、フロッピーディスクにデータを保存して取引先とやりとりをするという行動は、今ではほとんど見かけたことはありません。これはとても極端な例ですが、経験も体験も陳腐化するということを理解しておく必要があります。いつかのために今学んだとしても、いつの日か、今身につけたことは過去のやり方になっていることもあります。
 
起業をするか、就職するかを迷うということがありますが、そもそも選択肢として並ばないものだと考えています。働き方も時間の使い方も全然違います。起業をしたい、でも、最初からワークライフバランスは大切にしたいということはあまり成り立ちにくいものです。自分の中で大切にしたことがうまく整理できていないと、それぞれの良い面だけが目に入ってきます。現実は、メリットもあればデメリットもあります。何かを選択するときは、メリット・デメリットに目を向けて理解をして選ぶことが大切になります。冷静に情報を得ること、その情報は両面の視点で見ること。答えありきの情報を収集は自らの選択を誤る原因になります。

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