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2021/12/1

当たり前の中に無駄がある
筆者:石黒太一
 

飲食店に行った時に、キッチンがぐちゃぐちゃでとっちらかっているお店と、整理整頓が行き届いているお店とではどちらにまた行きたいと思うでしょうか。キッチンが整理整頓されているのか、いないのかで何に違いがるのかと思うかもしれませんが、複数の要素において違いが出てきます。
(1)衛生的 飲食の場合は顕著になりますが、汚れていたり、食材が傷んでいては衛生面で問題があります。
(2)時間 調理器具が最適な場所においてあることで、取り出す時間や片付ける時間が効率化されます。また、複数の人が使う場所であれば、あるほどどこに何があるのかが共通化されていることで、探す手間がなくなります。
(3)売上 効率的に調理をすることができるということは、同じ時間でも生産性が変わってきます。お客様に提供できる時間が短縮できれば、より多くのお客様にご利用いただくことができます。
(4)費用 買ってあったはずの食材が見つからず、再度購入する事があれば、費用のムダが発生します。
(5)さらなるイノベーション 稼ぎが増え、無駄な費用が抑えられ、片付けの時間も短くなれば、次の商品を企画したり研究するための時間やお金を生み出すことができます。
 
ぱっと見ぐちゃぐちゃでも、それが最適化されていることもあります。例えば、お一人でやっている場合はその方の中のルールがあります。ただし、チェーン店のように複数の人がシフトで調理をする場合などは、見てわからない状況になっていると、どこに何があるのかを教育するための時間やコストが掛かります。また、置き場所や置き方、多い・少ないの定義が人によって異なると、コミュニケーションロスによって、無駄が発生してしまうのです。
 
整理整頓という言葉はずっと言われていると思いますが、仕事や日々の生活で本当に実践できているかを常に考えたいものです。キーワードは「何のため」です。無意識にこういうものだからと固定観念になっていると、目的がわからないまま無駄をやり続けていることがあります。洗面台に置いてある歯ブラシは日々使っていますので、いつも同じ場所に置いてあると思います。しかし、その歯ブラシが置いてある場所について考えてみたことはありますか。右手で歯ブラシを取る習慣があるのに、歯ブラシは左側に置いてあった場合、何のために左に置いているのかを考えてみると気づきが生まれたりします。スマホでいつも使うアプリが、ホーム画面をスワイプしないと出てこない場所においてあったりすると、毎日何回も指を動かしていることになります。意図的にそうしているのであればよいのですが、何のために奥の方に置いてあるのかを考えてみると無駄に気づきます。日頃の身の回りにあるものですら、無駄が当たり前になっていることがあります。小さな無駄に見えるかもしれませんが、その累積は年単位でみると、決して小さなものではありません。
 
子供の時のイメージで、整理整頓をすることはめんどくさいように思うこともあります。しかし、実際はその反対です。もっと楽に生活をする、仕事で結果を出すということが整理整頓に直結します。どこに何があるかが明確なことはまず大前提として、仕事の優先順位を決める上でも、無駄のない段取りを考えたり、体力的な負担を軽減することができます。お客様に何かをお伝えする場合も、「何のため」で考えると、伝えることも整理整頓されていきます。実店舗でもネットショッピングでも、お客様が購入までの流れが整理整頓されていなければ、せっかく手にとった商品をもう一度棚に戻してお帰りになってしまいます。決して、特別なことをしているわけでありません。日々の習慣から整理整頓を取り組むことで、もっと楽に結果を出すことができるようになります。
 

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