1on1の優先順位を上げる理由
1on1について「どうやってやるの?」(HOW)に目が行きがちですが、そもそも「なぜやるの」(WHY)に着目して考えていきます。
面談、対話、1on1など呼び方は様々ありますが、会社やチームでの上司と部下、リーダーとメンバーでの1on1のケースを中心に見ていきます。最も即効性のあることは、メンバーが自分の進んでいる方向が、良いのかどうかが明らかになるということです。ホウレンソウと言われるものですが、日々仕事をする中でこのまま全力で走りきっていいのかを定期的に確認することは必要なことです。日々の仕事の中でも行われていますから、あえて1on1のタイミングでなくてもよいかもしれませんが、上司・リーダーもプレイングマネジャーであることがほとんどですので、時間をとって進捗を確認することで安心して走り切ることができます。ただ、これだけで終わっていてはいけません。メンバーからの相談に指示をしているだけであれば、主体性も磨かれてきません。共感による傾聴によって、聴くこと徹し本人のwillを引き出すことにつなげたいです。聴いてもらえるということだけでも、メンバーの心はどんどん開いていき、自己肯定感も高まっていきます。
コミュニケーションにも非同期・同期があります。チャットツールなどでテキストによるコミュニケーションはリアルタイムではなく、時間差が発生することもあります。これを非同期と考え、直接対面や電話などその場で会話することを同期と考えるものです。リモート環境に限らず、常に人が集まって打ち合わせをするという機会が減っていると、どこかにテキスト情報をアップして、それを関係する人が見るという行動になります。1on1であれば、基本は対面かオンラインなどで直接会話をしますので、テキストだけでは伝わりにくいニュアンス、温度感を理解する事ができます。更には、定期的に行うことで、声や表情、内容などから「変化」を感じ取ることができます。やる気に満ちているときと、何か不安や心配事を抱えているときとでは、発する声、広角の上がり下がりが顕著に現れます。しかし、リーダーから見たメンバーだけではなく、メンバーから見たリーダーも同様です。不安そうな上司を見ていたら部下も不安になります。だからこそ、自分自身がどのようなコンディションで接するかも大切なメッセージになっていきます。リーダーのあり方についても自分に向き合うきっかけとなります。
聴いてもらえる、承認されるという関係性ができれば、メンバーから今本当に困っていることや、ミスをしてしまったことも正直に話すことができるようになります。日々細かなところまでは見きれないならなおさら、関係性の質は大切です。反対に、耳の痛いことも伝えなければいけないメンバーへのフィードバックもできるようになります。だれでも耳の痛いことは言いたくないし、言われたくないというのは本音です。しかし、向き合っていかなければ、お互いに成長しません。良かれと思っていることが本人の成長を阻害していることもあります。阻害しているなら取り除く必要があります。フィードバックが相手に的確に伝わるためにも受け取る側の準備も必要なのです。
関係性が質が高まり、どんな事を話しても良いんだとなっており、フィードバックも機能している状態を作ることで、「少数意見」が出てくるようになります。多数決で物事を決めている間は、驚くようなイノベーションは生まれてきません。「そんな観点があったのか」というものが現状打破につながっていくのです。心理的安全性が高まっていくことで、チームも組織も強くなっていきます。1on1は週30分ぐらいの取り組みですが、その積み重ねは大きなパワーになります。忙しくて後回しになっているのであれば、それこそが忙しさを改善するための重要な時間ですから、優先順位を高めていく必要があります。