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2022/03/18

心理的安全性が高いとどうなるか
筆者:石黒太一
 

チームメンバーがお互いに気を使って遠慮しながら会話している環境と、お互いを尊重しつつも本音で会話できる環境とでは、あなたはどちらを選びたいですか。前者は大きな衝突もなく、空気を読みながらある意味では心地が良いこともあります。後者は耳の痛いこともド直球で伝えられますので、時としてザワッとすることもあります。

心理的安全性が高いという言葉が繰り返し聞かれますが、字面だけで見ると、穏やかに平穏な状態にも見えます。ただし、「そのためには」というもう一段階深い理解が必要になるのです。先程の例で言えば、本音で会話できている環境は心理的安全性が高いと言われる一つの状態です。人が人に指摘をしたり、自分と考えの違う場合に自分の意見を伝えるということは心地がよいものではありません。しかし、チームで活動する上で見て見ぬふりをしたり、なあなあでやっていると決して高い成果が出るとは思えません。

時には相反する考えが存在することはあります。その違いをお互いが理解し合わないとか、ただ対立をするということではチームが崩壊してしまいます。その中でも双方が大切にしていることが必ずあります。そして、そこを見ていくと実は大切にしていることは同じだったりもします。手段や方法が少し違うだけで目指すべきところは同じという場合に、互いに考えていることを腹を割って話をすれば、次なる打ち手が見つかります。このコミュニケーションができるかどうかが重要です。

心理的安全性が高いとイノベーションが生まれやすいとも言われます。物事を決めたり議論するときに、多数意見によって決まっていくことがあります。少数意見は数が少ないということで選ばれないというのが多数決というものです。しかし、イノベーションというのは、まだ私たちが気づいていないニーズやアイデアが形になっていくことがあります。そのヒントが少数意見の中にあるのです。アイデア出しをするときに、批判厳禁、アイデアの量を大切にするというのは、ここにもつながっています。心理的安全性が低いと少数意見を出しにくいということがあります。周囲の反応や空気を読みながら多数意見に合わせていると、せっかくまだみんなが気づいていないイノベーションの芽がでてこないということになってしまうのです。

心理的安全性を高めるというのは、ただ分かってもらえるだけではなく、自分も相手を理解しようとすることが必要です。自分のことを分かってほしいと言っていても、自分が相手のことをわかろうとしなければ、受け身であり依存です。時間のかかることもありますが、本音で向き合う事で結果的に物事がスムーズに進んでいきます。

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