伝えることは聴くこと
自分の思いが伝わらない。伝えているつもりが伝わってない。伝え方がわからない。伝えるということを日常的にやっているのに、伝えることに悩むことが多くあります。伝えている“つもり”からどうやって抜け出すのでしょうか。
自分が伝えていることと、相手が受け取っていることが一致して初めて伝わったことになります。「赤くて丸い果物」と言うと、りんごをイメージする人が多いのではないでしょうか。これはりんごを見たことがあるからイメージします。もしりんごを見たことがなければ別のものをイメージします。つまり、自分がイメージしているものが相手の頭の中でも投影されることで伝わっているのです。
あの人は理解してくれない。あの人は全然わかっていない。と、伝わらない原因を相手に向けてはいけません。大切なことは相手が理解できるように伝えることです。どのようなことに興味関心を持っているのかを知ることや、相手は現時点でどの程度情報を持っているかを把握することも伝える上で重要なことです。医師から難しい医療用語で症状を伝えられても、医療の勉強をしていなければ意味がわかりません。就職活動をしたことがない小学生に今日の宿題はあなたの「ガクチカ」を書いてきてくださいと言っても、なんのことかさっぱりわかりません。相手に合わせた伝え方がまず必要なのです。
伝えるために長い文章や何十枚ものスライド資料が必ずしも必要な訳ではありません。相手の知りたいことが何かを理解して伝えることで、もっと楽に伝えることができます。そのためには、まずは相手を知ることです。会話したり、観察したり、コミュニケーションによって下地を作ることです。説得ではなく、聴くことです。
聴けば伝わる。一方向で伝えるといろんな情報の準備が必要になります。しかし、お互いを知れば伝えることは聴くことであることに気づきます。伝わらないのは、目の前の人から聴けていないからです。伝えることの第一歩は聴くことです。